問題解決に重要な「課題設定力」
問題解決のためのオーソドックスな方法としてPDCAサイクルを回すという方法がある。
PDCAはビジネスの基本でありながら、多くの場合はうまくできていない。その理由のほとんどが、P(計画)をうまく立てることができないからです。
逆にP(計画)を適切に設定できれば、PDCAがうまく回すことができるようになる。
P(計画)のステップを3つに分けると次のようになる。
- 課題を設定する
- 優先度を付ける
- 分析を実施する
- 問題解決方法を提言する
この中でも重要なのが「①課題を設定する」のステップです。
この課題設定のステップがうまくできれば、問題解決の50%はできたと言っても過言ではありませんん。
逆に、この課題設定が悪いと、いつになっても問題の本質に近づくことができず問題解決ができません。
課題設定の重要性
課題設定がうまくできていない状態というのは、どんな状態でしょうか?
スティーブン・R・コヴィー著の「7つの習慣」で課題設定の重要性を端的に表している言葉があるので紹介します。
引用:7つの習慣
「はしご」を「課題設定」と読み替えれば、課題設定が重要であることがイメージできるのではないでしょうか?
課題設定が間違っていれば、うさぎのように早く走ってもゴールに近づくことはできません。
しかし、課題が適切に設定されれば例えカメのように歩みが遅くてもゴールに近づくことができるのです。
課題設定力を身につける
まずは、課題設定のときにやってはダメなことを紹介します。課題設定をするときは、ダメなことをやっていないかチェックする習慣を身につけるといいでしょう。
その後に、課題設定の正しい考え方をご紹介します。
ダメな課題設定の考え方
フリップ・ザ・コイン
フリップ・ザ・コインとは「コインを裏返した」という意味で、問題解決をするときに問題を裏返しした解決策を出すことです。
極端な例として、問題が「残業時間が長い」で、解決策が「残業しないで帰る」みたいなものです。問題という現象を反対にしただけでは、問題は解決できません。現象を引き起こす本質的な問題を見つける必要があります。
フリップ・ザ・コインは問題という現象が出てきたらひとつずつ叩いていく「もぐら叩き」のようは問題解決となってしまうが、問題の原因の本質がわからないため、うまくいかない。
ボイル・ジ・オーシャン
ボイル・ジ・オーシャンとは、「海の水を全部、煮立ててしまって、そこが見えるようにする」問題解決のアプローチです。
すべての可能性を片っ端から確認していくことになる。膨大な時間とコストがかかる上に、大量の余分なことも見えてしまい検討もしなければならなくなる。
これは最悪な問題解決の考え方だと分かると思う。
正しい課題設定の考え方
イシューからはじめよ
安宅和人氏のベストセラー著書で「イシューからはじめよ」という本がある。
イシューとは「問題を解決するための課題」のことである。
課題解決の有名な事例を紹介します。
10階建てのビルにエレベーターが一台しかないことを想像してみて下さい。利用者が多くて、ボタンを押してもエレベーターがなかなか来ない。そのため、利用者はいつもイライラし、管理会社には苦情がひっきりなしに来ている。
解決策は「エレベーターを増設する」ことだろうか?費用もかかりすぎるし現実的でもないで。単なるコインの裏返しである。
模範解答は「エレベータの前に鏡を置くこと」です。こうすれば、待ち時間に服装や髪型を整えることができ、待ち時間が区ではなくなる。
さて、この問題の本質はなんだったんだろうか?
「待ち時間が長すぎる」ことが問題なのだろうか。そうではない。
問題の本質は、「手持ち無沙汰に待つ」という時間の質だった。
ボイル・ジ・オーシャンのように、全てを可能性を見て見つけるのではなく、はじめから仮説をもって見ることが重要なのである。このように問題の表面ではなく本質にアプローチすることが「イシューからはじめる」ということである。
ホワイトスペースを狙う
ホワイトスペースとは何もないところのことだ。
現状分析に終始していると、現状の延長線上でしか思考ができなくなってしまう。すると、狭い視野でしか物事がかんがえられなくなり、柔軟な発想ができなくなる。
「ホワイトスペース」に問題解決のヒントがあることも多くある。どんな可能性があるか仮説を持って、何もないところに形を作ると、それが次のリアリティになる。
もしかしたら、「ホワイトスペース」に「ブルーオーシャン」を見つけることもできるかもしれない。
まとめ
課題設定の考え方について紹介しました。
- イシューからはじめる
- ホワイトスペースを狙う
この発想ができるようになれば、今まで解決できなかった問題の本質を見出す、つまり課題の設定をうまくすることができるようになります。
はじめは難しいかもせれませんが、訓練すれば課題設定もうまくできるようになります。
あなたのビジネスの問題を、この記事を参考に課題設定をしてみましょう。課題設定がうまくできれば問題解決の50%は成功し、あとはPDCAを回すだけです。